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相続税の節税対策には「税額控除」と「テクニック」が必要?相続発生後でも使える方法を解説

近年、税制改正により、相続税の基礎控除額が下がったために、相続税が課税されるケースが増えています。

マンションや土地建物などを相続すると、すぐに現金化ができないため、相続税の支払いに困ってしまうこともあります。

相続税を節税するためには、税理士などに相談して効果的に生前贈与や不動産の賃貸活用などを行うべきですし、同時に相続税の納税資金も準備しておくべきです。
効果的な相続対策をすると、相当な金額の相続税を節税することも可能となります。

このとき重要なポイントは、相続税の控除制度と節税のためのテクニックです。
そこで本記事では、相続税節税のための、「税額控除」と「テクニック」を、徹底的に解説します。

目次

1.まず、相続税と贈与税はなぜ改正されたのか

(1)実質増税?相続税制と贈与税制が変わった

近年行われた相続税制の改正について、ご存知でしょうか?

実は、相続税に関する制度は、平成27年(2015年1月)から改められています。

そうだとすると、関心を持たれるのは、

「相続税は上がっているのか?それとも下がったのか?」

ということでしょう。

残念ながら、相続税は上がっています

具体的には、次の項目で詳しく説明をしますが、相続税の基礎控除が下げられたため、以前よりも多くのケースで相続税が課税されるようになってしまいました。

相続税の税率も変化しています。

そして、相続税制が改正されたタイミングで、贈与税の制度も改められました。

いくつもの生前贈与に対する控除制度などをもうけて、生前贈与が活発に行われるように計らわれています。

(2)相続税制が改正された理由

それでは、このように相続税制や贈与税制が改正されたのは、どのような理由によるのでしょうか?

話は、バブル期まで遡ります。

1980年代~90年代初めにかけて、日本はバブル景気にわいていました。

当時は不動産の価格が急騰しており、土地転がしなども行われていたことが有名です。

当然、不動産を相続すると、高額な相続税が課税されていました。

ただ、不動産は、相続をしても現金を手にすることができないため、相続をした人が、相続税を支払うことができないおそれが高かったのです。

そこで、一定以上の遺産を相続したケースのみに相続税を発生させるため、基礎控除が高めの相続税制度が定められました。

ところが、バブル崩壊後、不動産その他の資産価値は暴落しました。

しかし、相続税の基礎控除は変わらなかったので、多くのケースで相続税が課税されない状況が続きました。

相続税制が改正される平成27年に至るまでは、日本で相続税を支払う世帯は、わずか4%台だったのです。

このようなことは不合理ですから、より実効的に相続税を課税するため、今回の相続税改正が行われたのです。

そうだとしても、どうして贈与税制度まで変える必要があったのでしょうか?

(3)贈与税制が改正された理由

これは、生前贈与を促す目的にもとづきます。

生前贈与とは、生きている間に、財産を贈与してしまうことです。

死亡と同時に相続をさせるのとは対象的に、生きているうちに財産の権利を移転するため、「生前」贈与と言うのです。

近年の日本では、シニア世代に財産が集中している傾向があります。

若者の貧困や低所得か、非正規雇用の増大などが問題視される中、シニア世代は日本中の資産の60%を所持しているとも言われています。

このように、高齢者に資産が集中していては、社会内でお金が使われず、消費もされずに社会全体が停滞してしまいます。

そこで、このようなシニア世代の資産を若い世代に積極的に受け渡していく必要があります。

そのための方法が、生前贈与なわけです。

贈与税が改正された目的は、シニア世代が貯め込んでいるたくさんの資金を消費能力の高い子や孫の世代に受け継ぎ、経済効果を生むためです。

このように、平成27年1月1日より適用される新税制のもとでは、相続税は上がっていますが、贈与税には多くの控除が設けられて下がっています。

そこで、効果的に節税をしたいのであれば、上手に贈与税の控除制度を使って生前贈与をしたら良い、ということにつながります。

2.相続税の基礎知識を学ぼう

相続税の基礎知識を学ぼう

相続税改正により、これまでより多くの家庭で相続税が課税されるようになってしまいましたが、具体的にはいくら以上の遺産があると相続税が課税されるのでしょうか?

そこでこの項では、相続税の基礎控除と課税対象の資産について、ご説明します。

(1)相続税の基礎控除

相続税が課税されるのは、遺産の評価額が相続税の基礎控除を超える場合です。

平成27年の税制改正により、相続税の基礎控除が下げられたことはご説明しましたが、具体的な改正内容は以下の通りです。

平成26年12月31日までに発生した相続の場合の基礎控除の金額

5000万円 + 法定相続人数 × 1000万円

ところが、平成27年1月1日以後に相続が開始した場合には、基礎控除は以下の通りの金額となります。

3000万円 + 法定相続人数 × 600万円

(2)相続税の税率

相続税が課税される場合の税率も確認しましょう。

これについても平成27年1月1日より改定が行われています。

現在の税率(速算表)は、以下の通りです。

法定相続分に応じた遺産の取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円

(3)具体例

以上を前提に、新たな相続税制によるとどのくらい相続税の金額が異なってくるのか、具体例で確かめてみましょう。

「遺産の評価額が5000万円、法定相続人が1人のケース」とした場合、旧制度では基礎控除が5000万円+1000万円=6000万円となるので、相続税は発生しません。

これに対し、新制度では、基礎控除が3000万円+600万円=3600万円となるので、1400万円の部分に対して相続税が発生します。

そこで、このケースでは、1400万円×15%-50万円=160万円の相続税が課税されることとなります。

(4)相続財産と非相続財産

次に、相続財産と相続財産にならないものを、確認しましょう。

相続財産は、相続税課税の対象になる資産です。

基本的に、亡くなった被相続人名義の資産は、すべて相続財産になると考えても良いです。

たとえば、以下のような資産は、相続財産となって相続税が課税されます。

  • 土地、建物、マンションなどの不動産
  • 株式(上場株式及び非上場株式)
  • 債権、投資信託
  • 現金
  • 預貯金
  • 自動車
  • 出資持ち分
  • ゴルフ会員権
  • 骨董品、絵画
  • 生命保険、死亡退職金(一定の控除あり)

反対に、相続財産にならない資産(相続税が非課税の財産)は、以下の通りです。

①祭祀財産

祭祀財産というのは、先祖をまつるための資産のことです。

たとえば仏壇仏具、神棚や墓石、墓碑などや家系図、系譜などは非課税です。

こうした祭祀財産は、遺産分割の対象にもならず、「祭祀承継者」に指定された人がまとめて受け継ぎます。

②控除枠内の生命保険、死亡退職金

生命保険金や死亡退職金は、原則的に相続税課税の対象になるのですが、大きな控除枠があります。

そこで、その控除枠の範囲内であれば、相続税は課税されません。

なお、死亡退職金というのは、従業員や役員が在職中に死亡して退職を余儀なくされたときに支給される退職金のことです。

③国や地方公共団体、特定公益法人などへの寄付

相続財産を、国や地方公共団体に寄付する場合には、相続税が課税されません。

また、特定公益法人などに相続財産を寄付する場合にも、期限内に相続税の申告をすると、非課税にしてもらうことができます。

3.相続税を減額できる控除の種類

相続税を減額できる控除の種類

相続税を効果的に節税するためには、相続税に認められる控除の制度を把握しておく必要があります。

そこで以下では、役に立つ税金控除の制度をご紹介していきます。

(1)配偶者控除

まずは、相続税の配偶者控除を押さえておきましょう。

配偶者控除とは、配偶者が相続するときに受けられる相続税の控除です。

具体的には、以下の大きい方の金額までは、相続税が課税されません。

  • 1億6千万円
  • 配偶者の法定相続分

多くの家庭では、相続財産が1億6千万を超えることがないでしょうから、配偶者が相続をするときには、ほとんど相続税が課税されないことになります。

配偶者控除を受けるには、相続税の申告期限までに、遺産分割協議をした上で、遺産分割協議書をつけて相続税の申告をしなければなりません。

(なお、遺言書によって配偶者が遺産相続する場合には、遺産分割協議は不要で、遺言書を添付すれば足ります。)

ただし、期限内に遺産分割ができない場合には、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を添付して税務署に提出することにより、控除を受けられる可能性があります。この場合、遺産分割ができた段階で、相続税の更正請求をすると、支払いすぎた相続税の還付を受けられます

また、申告期限後3年以内に相続税の申告ができない事情がある場合にも、税務署長の承認を受けた上で、その障害となっている事情がなくなってから4ヶ月以内に遺産分割をすることができたら、配偶者控除の適用を受けることができます。

(2)贈与税額の控除

次に死亡3年以内に行われた生前贈与に認められる税金の控除制度についても、知っておきましょう。

この場合、贈与された財産を相続財産に含めて計算するため、改めて相続税が課税されてしまいます。

ただし、その贈与財産に対応する贈与税は控除されます。

つまり、死亡前3年以内に行われた贈与については、贈与税ではなく相続税が課税されるということです。

このときの贈与財産の評価は、贈与時の時価を基準にします。

(3)未成年者控除

相続税には、未成年者の税額控除もあります。

これは、相続人が未成年者の場合に相続税が一定額差し引かれる制度です。

未成年者控除を受けられるのは、相続や遺贈を受けた未成年者です。

相続開始時や遺贈を受けたときに、20歳未満であることが必要です。

また、相続や遺贈を受ける未成年者は法定相続人である必要があります。

未成年者控除で差し引きされる金額は、20歳から対象の未成年者の現在の年齢を引いた年数×10万円です。

なお、1年未満の年数がある場合には、切り上げて1年として、計算をします。

たとえば、現在15歳の未成年者の場合には、(20-15)×10万円=50万円です。

未成年控除の金額が、その未成年が相続する財産の評価額よりも大きいときには、未成年者の扶養義務者(親や配偶者、兄弟姉妹など)の相続税額から差し引くことができます。

(4)障害者控除

相続人が障害者の場合には、障害者控除も適用してもらうことができます。

障害者控除が適用されるのは、85歳未満の障害者が相続するか、遺贈を受けた場合です。

障害者控除の金額は、85歳からその障害者の年齢を引いた年数×10万円です。

未成年者控除の場合と同様、1年未満の期間があれば、切り上げて1年として計算します。

たとえば、現在40歳の障害者の場合には、450万円{(85-40)×10万円}の控除を受けることができます。

特別障害者の場合には、1年について20万円の控除を受けられます。そこで、40歳の特別障害者が相続をするときには、900万円{(85-40)×20万円}の控除を受けることができます。

障害者の控除枠が、その障害者自身の相続分を超える場合には、その障害者の扶養義務者(配偶者や親子、兄弟など)の相続分から差し引くことができます。

(5)相次相続控除

相続税には、相次相続控除という控除制度も認められています。

これは、前回に相続をして相続税を支払った後、10年以内に再度相続をしたときに、一定の金額が相続税から差し引かれる制度です。

たとえば、7年前に父親が亡くなったので相続税を支払ったけれども、その後母親が亡くなったので、母親の分も相続税を支払わなければならないケースなどです。

このように、2度も相続が続いて相続税が課税されると負担が非常に重くなるので、相次相続の控除が認められています

相次相続の控除が適用されるためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 2度目の相続(2次相続)の被相続人が1度目の相続(1次相続)の相続人である
  • 2次相続の被相続人が、1次相続の際に遺産を取得して、相続税が課税された
  • 1次相続が起こってから2次相続が開始まで、10年以内である

相次相続控除が適用されるのは、2度目の相続の「相続人」のみです。

相続を放棄した人や相続権を失った人が遺贈を受けたとしても、相次相続控除は適用されないので、注意が必要です。

①相次相続控除の計算方法

相次相続控除で認められる控除額の計算方法は、非常に複雑です。

計算式は、以下の通りです。

A×C÷(B-A)×D÷C×(10-E)÷10

A:今回の被相続人が、1次相続の際に課せられた相続税の価額

B:被相続人が1次相続の際に相続した財産の価額

C:2次相続で、すべての相続人や受遺者が受けとる財産の総額

D:相次相続控除の適用を受ける相続人の受取価額

E:1次相続から2次相続までの期間(1年未満の場合、切り捨てます)

②計算の具体例

相次相続控除の計算方法は、式だけを見ていても非常にわかりにくいので、具体的な計算例を確認しておきましょう。

7年前に父が亡くなり、母が2億円相続して、相続税として600万円を納付しました。

これを1次相続とします。

その後、今年母が亡くなって長男と長女が2人で2億円を相続しました。

これが2次相続です。

この場合、先の計算例に当てはめると、控除額は

600万円×2億円÷(2億円-600万円)×1億円÷2億円×(10-7)÷10=927835円

となります。

そこで、長男及び長女は、それぞれ927835円の相続税控除を受けることが可能になります。

4.相続発生前にできる相続税の節税テクニック

相続発生前にできる相続税の節税テクニック

相続税の控除が適用されるケースは、相続人が配偶者や未成年者、障害者などであるケースに限られており、どのような場合でも利用できるわけではありません。

被相続人が生きているうちに利用できる、もっと効果的な相続税節税の方法はないのでしょうか?

以下では、相続発生前にできる相続税の節税テクニックをご紹介します。

(1)生前贈与を活用する

生前に相続税対策をしたいのであれば、生前贈与を効果的に活用しましょう。

生前贈与をするときには、多くの贈与税控除の制度を利用することができます。

そこで、これらを使って贈与をすると、贈与税も課税されませんし、相続財産ではなくなるので相続税も課税されなくなり、効果的に節税できるのです。

以下では、贈与税に認められる控除の制度をご紹介していきます。

①暦年贈与

暦年贈与とは、毎年110万円までの贈与に対して認められる贈与税の基礎控除のことです。

対象となる財産は、現金や預貯金、不動産や投資信託などどのようなものでもかまいません。

また、贈与対象者は何人でもよく、複数の人に贈与をすると、それぞれについて110万円の控除が認められます。

たとえば、3人の子どもや孫に対して毎年110万円ずつの贈与を繰り返すと、毎年330万円ずつ、10年も経てば3300万円もの財産を無税で移転することができるので、大きなメリットがあります。

②相続時精算課税制度

生前贈与を行うのであれば、相続時精算課税制度についても知っておきましょう。

これは、親や祖父母から子どもや孫に対して生前贈与を行う際、最大2500万円までの贈与分に贈与税が課税されなくなる制度です。

対象となる財産に制限はなく、現金でも不動産でも株式でも何でもかまいません。

複数年度に渡って適用を受けることができ、2500万円の範囲なら、何年かかって贈与してもかまいません。

なお、相続時精算課税制度を適用してもらうと、暦年贈与は利用できなくなります

また、相続が起こったときには、贈与された財産を、贈与時の時価で相続財産に足して、まとめて相続税が課税されます。

③配偶者に対する居住用不動産等の譲渡の特例

居住用の不動産や、居住用の不動産の購入資金を配偶者に贈与するときには、最大2000万円までの贈与分に対する贈与税が非課税になる特例があります。

この特例が適用されるのは、婚姻後20年を経過した夫婦です。

不動産そのものではなく、不動産購入用の資金の贈与でも非課税にしてもらうことができます。

ただし、同じ配偶者の場合、この特例を適用してもらえるのは1回のみとなります。

④住宅取得資金贈与の特例

親や祖父母が子どもや孫に対し、住宅取得用の資金を贈与するときには、最大で3000万円までの贈与分が非課税になる特例があります。

この特例が適用されるためには、「資金」の贈与である必要があり、不動産そのものの贈与の場合には、非課税にしてもらうことができません。

また、住宅ローンを肩代わりするときにも、特例の適用がないので注意しましょう

⑤結婚・子育て資金贈与の特例

親や祖父母が子どもや孫に対し、結婚資金や子育て資金を贈与する際には、最大で1000万円までの贈与分を非課税にしてもらえる特例を受けることができます。

この制度を利用するためには、贈与を受ける人の名義で信託銀行に口座を開き、贈与額を一括で振り込む必要があります。

贈与を受けた人が50歳になると、自動的に終了し、そのときの残高に対して贈与税が課税されます。

⑥教育資金贈与の特例

親や祖父母が子どもや孫に対し、教育資金を贈与するときにも、最大1500万円までの贈与分が非課税になる特例があります。

この特例を利用するときにも、受贈者の名義で信託銀行に口座を開き、一括で贈与するお金を振り込む必要があります。

受贈者が30歳になると、自動的に制度が終了し、そのときの残高に対して贈与税が課税されます。

(2)不動産を活用する

相続税を節税するためには、不動産を活用すると効果的です。

①不動産を購入する

現金や預貯金がたくさんあるなら、不動産を購入すると相続税の節税になります

それは、現金や預貯金と不動産の相続税評価方法が異なるからです。

現金や預貯金はもちろん時価ですが、不動産を評価するときには、「相続税路線価」という評価方法を使います。

これによると、時価の8割程度の評価額になります。

そこで、現金や預貯金で不動産を購入すると、単純計算で相続税評価額を8割程度に抑えることができることになります。

②賃貸物件を建てる

土地を所有しているのであれば、土地上に賃貸物件を建てて賃貸に出す方法が効果的です。

不動産を賃貸すると、評価額から「借地権価格」や「借家権価格」を引いてもらうことができるためです。

具体的には、以下の通りの計算式で計算します。

貸地の評価額=もともとの評価額×(1-借地権割合×借家権割合)

借地権割合は地域によってさまざまですが、だいたい60%~70%となるところが多いです。

借家権割合は多くのケースで30%です。

たとえば借地権割合が70%の地域で貸地上に建物を建てて賃貸すると、その評価額は、

1-70%×30%=79%

になります。

土地の相続税評価額を、2割減にしてもらえることになります。

現金で持っていると1000万円の場合でも、土地を買ったら8割の800万円となり(路線価による評価)、さらにそれを賃貸したら、8割減の640万円になる、というイメージです。

③建物を賃貸する

建物を相続すると、建物の評価額分に対して相続税が課税されます。

そこで、建物の評価額を下げることが、相続税の節税につながります。

建物も、賃貸に出すと借家権割合を引いてもらうことができるためです。

借家権割合は多くのケースで30%となるので、空き家を賃貸すると、相続税評価額を70%に落とすことができる計算になります。

(3)生命保険を活用する

生命保険に加入することも、効果的な相続税対策になります。

生命保険には、「法定相続人数×500万円」分の相続税控除が認められるためです。

たとえば、相続人が3人いたら、500万円×3人=1500万円までの生命保険金受取には、相続税がかからなくなるので、現金を持っているより大きく節税できます。

(4)養子縁組をする

養子縁組も、相続税節税に効果的です。

子どもは必ず法定相続人になりますが、法定相続人が増えると、その分基礎控除が600万円分増えるからです。

そこで、生前に孫などを養子にすることで相続税対策をするケースなどがあります。

5.相続発生後にできる相続税の節税テクニック

相続発生後にできる相続税の節税テクニック

次に、相続税の発生後にできる相続税節税のテクニックをご紹介します。

(1)土地を正しく評価する

相続税を節税するためには、土地の評価が非常に重要です。

土地を評価するときには、相続税路線価を利用するのですが、土地の形状によって大きく土地評価額を下げてもらえるケースなどがあるからです。

たとえば、奥行がほとんどない土地や逆に細長すぎる土地、不整形な土地などは、同じ面積の他の土地よりも評価額が下がります。

こうした評価の補正については、申告者が自分で気づいて適用しないと、税務署から指摘してもらうことはできません。

そこで、どのような補正があるのかを知り、確実に適用して土地評価額を下げることが大切です。

(2)小規模宅地の特例を適用する

土地の相続税評価額を下げるためには、小規模宅地の特例を利用することが役立ちます。

小規模宅地の特例とは、被相続人が居住していたり、事業に利用していたりしていた宅地を相続するとき、その評価額を大きく下げてもらうことができる特例です。

居住用や一般の事業用に使われていた宅地なら8割減、駐車場や賃貸アパートなどの貸付事業用に使われていた宅地でも5割減にしてもらえるので、相続税を大きく下げることができます。

たとえば、現金や預貯金があるときに、土地(宅地)を購入して、その土地上に建物を建てて賃貸すると、借地権割合と借家権割合を引いてもらえる上、小規模宅地の特例まで適用してもらうことができるので、相続税の節税効果は絶大です。

ただ、小規模宅地の特例が適用される面積には限度があります。

居住用の宅地の場合には330平方メートル、一般事業用の宅地の場合には400平方メートル、貸付事業用に使われていた宅地なら200平方メートルが限度となっています。

(3)土地を分筆する

土地を分筆することで、相続税評価額を下げることができるケースもあります。

たとえば、2つの道路に面している角地がある場合、高い方の路線価によって計算するので土地の評価が上がります。

これを分筆して、1つの道路にしか面しない土地を作ると、その分評価額を下げることができる可能性があります。

また、1つの土地を分筆して、道路に接する部分が細い形の「旗竿地」を作ることによっても相続税評価を下げることができます。

また、分筆により、「広大地」と呼ばれる土地の形状を作り出すことができると、大きく相続税評価を下げることが可能です。

広大地になると、広大地補正という補正が適用されるためです。

ただ、こういった土地の分筆による相続税節税方法は、非常に専門的なので、素人判断では難しいです。

税理士に相談しながら進めると良いでしょう。

(4)葬儀費用を控除してもらう

葬儀を行った場合には、葬儀費用を控除することができます。

領収証があるものはもちろんのこと、お布施やお車代などの領収証をもらえないものでも、控除の対象になります。

そこで、実際に支払をしたら、しっかりとメモを残しておきましょう。

いつ、誰に、いくらをどのような費目で支払ったのかを記載します。

葬儀関連費用で控除の対象になるのは、以下のような費用です。

  • 死亡診断書の費用
  • お通夜や告別式の費用
  • 葬儀場に行くための交通費
  • お通夜や告別式での飲食費用
  • 遺体搬送の費用
  • 火葬料、埋葬料
  • 運転手へのお車代
  • お布施、読経料、戒名料
  • 納骨の費用

まとめ

以上のように、相続税制度の改正が行われたことにより、これからは一般中流家庭でも相続税の支払いが必要になるケースが多く発生してきます。

何もしなければ多額の相続税が課税されるおそれもあるので、税金対策を考える必要性は高いです。

ただ、相続税の節税対策方法は非常にさまざまであり、自分の状況によっても効果的な方法やとりうる方法が異なってきます。

自分たちのケースでどのような方法を利用できるのかを検討して、可能な限り、生前から少しずつ対策を進めていくことが大切です。

今回の記事を参考にして、効果的な相続税節税方法に取り組んでいきましょう。