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生命保険金や死亡保険金は相続税がかかる?相続時に注意すべき全知識

相続の際に気になることの一つが、死亡保険金の取り扱いです。
死亡保険金を受け取り慣れている人は、そうそういません。
そのため、

・死亡保険金はどう受け取るのか?
・損をしないための受け取り方はあるのか?
・相続放棄をした場合には死亡保険金は受け取れないのか?
・どういう税金がどれだけ掛かるのか?

といった疑問や悩みを抱える方も多いことでしょう。
そこで、今回はそのような相続と死亡保険金に絡んだ疑問について解説を行います。

1.死亡保険金を受け取るには

まず、死亡保険金を受け取るためには、どういった手続が必要なのでしょうか。

死亡保険金を受け取るのが初めてという方のため、簡単な流れと必要書類を以下に示します。

(1)死亡保険金を受け取るまでの流れ

人が死亡してから保険金を受け取るまでの簡易な流れは、以下の通りです。

  1. 死亡
  2. 保険会社へ連絡
  3. 必要書類の用意
  4. 請求手続
  5. 保険会社の調査・判断
  6. 受取

まず被保険者が亡くなります。

それから保険の契約者か受取人が保険会社へ連絡し、以下に示す必要書類を用意します。

すると保険会社から案内や書類が送られてきますので、それに従って請求手続を行います。

ここから保険会社による調査が行われ、保険金を支払ってよい場合に当たるかが判断されます。

その結果、支払事由に当たると判断されれば、契約で定められた支払期限内に死亡保険金が支払われ、受取という流れとなるのです。

(2)死亡保険金の受取に必要な書類

死亡保険金を受け取るには、各種の書類が必要となります。

中には取得に手続を要するものもあるので、手続の期限などとの関係で注意しておきましょう。

一般的に、死亡保険金を受け取る際には、以下の書類が求められます。

  • 請求書
  • 住民票(被保険者)
  • 戸籍抄本(受取人)
  • 印鑑証明(受取人)
  • 死亡診断書ないし死体検案書
  • 保険証券

まず、保険金の請求書です。

これは被保険者の死亡後に保険会社へ連絡を入れれば送ってくれます。

次に死亡者(被保険者)の住民票と、保険金を受け取る者の戸籍抄本、印鑑証明が必要となります。

印鑑証明については、法人からの請求に限定している保険会社もあります。

さらに、被保険者が死亡したことを証明するための死亡診断書ないし死体検案書が必要です。

診療中の病気などで亡くなった場合は死亡診断書ですが、それ以外の場合には医師による死体の検案が必要となるため、死体検案書が作成されます。

あとは保険証券も用意しておきましょう。

これは保険契約の内容や条件を記した書類です。

(3)保険契約者・保険金受取人が行っておくこと

死亡保険金を実際に受け取るまでの間に、保険契約者や保険金の受取人が行っておくべきことには、どのようなものがあるのでしょうか。

第一に、保険契約者と保険金受取人が異なる場合、契約者は受取人に対し、契約内容や保険会社、担当者、支払期限などを伝えておくことが望ましくあります。

第二に、必要書類をわかりやすくまとめておくことです。

これを行っておかないと、気づかないまま消滅時効とされる3年が過ぎてしまうという可能性もあります。

きちんと死亡保険の契約については受取人に伝えておき、受け取り損ねることのないようにしましょう。

2.死亡保険金と相続

相続に関連し、そもそも死亡保険金とはどういう性質のものなのかが問題となります。

相続財産に該当するのでしょうか。

また、遺産分割の対象にはなるのでしょうか。

これらの疑問について解説をしていきます。

(1)死亡保険金は相続の対象なのか

ポイントは、保険契約において、被相続人が保険料を支払っていた場合のみ、相続財産となるという点です。

保険料をそれ以外の者が支払っていたのであれば、相続財産にはなりません。

当然、税金関係での取り扱いも変わってきます。

死亡保険金が相続財産として扱われる場合は、以下の2つ。

  • 受取人が被保険者本人のケース
  • 受取人の指定がなされていないケース

なお、受取人として特定の人を指定していた場合、あるいは「相続人」を指定していた場合は、相続財産にはあたらないことに注意が必要です。

相続財産となるかどうかということは、相続放棄の影響を受けるかという点にも関わります。

相続財産として扱われる場合には、相続放棄をしてしまえば死亡保険金を受け取る権利は失われます。

なお、死亡者が受取人に指定されていた場合、保険約款または保険法第46条により頭割となり、相続財産にはあたりません。

(2)死亡保険金の性質

死亡保険金については以下の2つがあり、これが相続の対象となり得ます。

  • 死亡保険金そのもの
  • 死亡保険金の受取人としての地位

両者は扱いが異なってくるために注意が必要です。

死亡保険金そのものは上述の2つのケースにあたれば相続財産となりますが、受取人としての地位については、相続財産にはあたりません。

3.死亡保険金と税金

死亡保険金に関連して問題となる税金は3種類あります。

相続税・所得税・贈与税です。

これらのどの税金が課せられるのかというのは、誰が契約者で誰が受取人なのかということによって変わってきます。

以下、順に見ていきましょう。

(1)相続税

自分で自分に保険をかけて亡くなり、遺族が死亡保険金を受け取る場合には、相続税が課せられます。

これは、保険料の支払いも被相続人本人が行っていたというケースです。

相続税の場合、「法定相続人の数×500万円」の非課税枠が存在するのが特徴的です。

ただし、法定相続人以外の者が受取人であれば、非課税枠は適用されないので注意が必要です。

これは、非課税枠があくまでも法定相続人の生活保障が趣旨だから、と説明されます。

(2)所得税

契約者が親族に保険をかけ、その親族が死亡して死亡保険金を受領するという場合には、所得税が課せられます。

これは契約者が一貫して生存しているため、相続と死亡保険金とが無関係だからです。

この場合には、死亡保険金は一時所得として扱われるのです。

所得税が課せられる場合、控除の対象が様々にあり、納税額の計算が大変になることがあります。

(3)贈与税

契約者が親族に保険をかけ、その親族が死亡して死亡保険金を相続人が受け取る場合には、贈与税が課せられます。

このとき、契約者は一貫して生存しており、死亡保険金は相続人が受け取るわけですから、ちょうど契約者が相続人に死亡保険金を贈与した形とみることができます。

そのため、贈与として扱われるのです。

(4)死亡保険金の受取で損をしないために

誰が契約者となり、誰を受取人に指定するかといった点により、掛かってくる税金の種類も額も異なってきます。

たとえば、死亡保険金に対する相続税の非課税枠は「法定相続人の数×500万円」として計算がなされますが、基礎控除も「法定相続人の数×600万円+3000万円」と高額です。

それに対し、一時所得の場合はいろいろと計算が難しいですが、一時所得の特別控除は50万円ですし、基礎控除は38万円、生命保険料控除が4万円限度、その他扶養控除や配偶者控除を合わせても、あまり多くはありません。

また、贈与税については、基礎控除額が110万円しかありませんから、税金の額はかなり高くなると考えていいでしょう。

結論としては、相続税の場合は非課税枠として控除される額が大きく、なるべくなら相続税として扱われるようにするのがポイントといえます。

4.死亡保険金を受け取るにあたって

(1)相続人や被相続人として行うべきこと

まず、大前提として契約についてきちんと確認しておくことが必要です。

確認の際には、保険契約の支払い条件や支払額だけではなく、契約者が誰で受取人が誰なのか、ということも考慮すべきです。

相続税が掛かるか所得税が掛かるか、それとも贈与税が掛かるかによって最終的に手元に残る金額は大きく変わってきます。

これは制度や税金の額の算定方法を知っているかどうかで異なってくるため、注意しなければなりません。

(2)法律家に相談したほうがいいこと

手続や書類の申請には時間が掛かることもあります。

死亡保険金には3年の消滅時効もあり、受取人が保険契約について知らなければ、請求の権利が失われてしまう場合もあるでしょう。

特に、被相続人が複数の保険契約を結んでいることもあり、このようなケースでは当然手続も煩雑にならざるを得ません。

また、税金関係の扱いは特にどのような非課税枠や控除があるのかという点が複雑です。

加えて納税には期限があり、たとえば相続税なら、死亡を知った日の翌日から起算して10ヵ月という期限内に税金を収めなければ、ペナルティとしての延滞税が課せられてしまいます。

こういったことから、専門的知識と手続に関する経験の豊富な法律家に任せるのが確実といえるでしょう。

弁護士に相談をした場合、30分に5000円というのが相場ですが、初回の相談が無料というところも多く、事務所に問い合わせてみるといいでしょう。

また、死亡保険金の請求手続や相続に際しての税金面での手続の代行依頼であれば、これも請求先の数や取り扱う財産の額との兼ね合いもありますが、10~20万円前後はみておく必要があります。

まとめ

死亡保険金が問題となる場合というのは、当然身近な者が亡くなったときです。

つまり、非常に慌ただしくなるということですね。

お葬式や遺品整理などで気を取られる中、死亡保険金は、ともすれば忘れられがちになります。

特に被相続人本人が契約者となる場合は、相続人にきちんと保険契約の存在と契約内容を伝えておかないと、ずっと知らないままという可能性すらあります。

また、税金関係はどうしても難解かつ煩雑になるため、これも専門家の助言やサポートがあるかどうかでどれだけの納税額となるかが変わってくることがあります。

死亡保険金の受取や相続税の支払いについて不安がある、どうせならば賢く死亡保険金を受け取りたい、といった場合には、一度ご相談しておくといいでしょう。