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田舎にある土地を評価する「倍率方式」とは?計算方法と注意点

相続税においては、土地の価格は、路線価で評価されることになっています。路線価とは、道路に面した宅地1平方メートルあたりの価格のことで、国税庁のホームページで確認することができます。

しかし、全ての土地に路線価がつけられているわけではありません。地方にある土地の多くは路線価が定められておらず、この場合は「倍率方式」を用いて、土地の評価額を算出することになります。

今回は田舎にある土地を相続した場合に必要となる倍率方式について解説します。

1.倍率方式とは

土地には、実際に市場で取引されている価格(実勢価格)、国土交通省が公示している土地の価格(公示価格)、道路に面する標準的な宅地1平方メートル当たりの価格(路線価)、固定資産税の課税の基準となる評価額(固定資産税評価額)という4つの価格があります。

このうち相続税においては、土地の価格は路線価をもとに評価されることになります。

路線価は、国税庁が決定する土地の価格のことで、都市部などにある主要な道路に面した標準的な宅地1平方メートルあたりの評価額です。この路線価は地図でまとめられていて、国税庁のホームページで確認することができます。

路線価をもとに土地の評価額を算定することを「路線価方式」といいますが、すべての土地がこの路線価方式で算定できるわけではありません。

地方部では路線価自体が定められていない地域が多く存在するため、路線価方式に代わる算定方法が必要となります。

これが「倍率方式」です。倍率方式は、路線価方式に代替する方式であることから、倍率方式を用いて土地を評価するには、まずその土地に路線価が定められていないことが必要となります。

つまり、土地の評価に際しては、まず土地のある地域に路線価が定められていないことを確認する必要があるというわけです。

2. 路線価が定められていないかを確認する

当該土地に路線価が定められているかいないかどうかは、国税庁のホームページの路線価図(http://www.rosenka.nta.go.jp/)で確認することができます。

路線価の確認方法

①国税庁のホームページの路線価図にアクセスします。

調べたい土地がある都道府県をクリックします。

②路線価図をクリックします。

③該当する市区町村名をクリックします。

④調べたい土地の住所を探し、その土地の路線価を見つけます。

⑤路線価が定められていない地域の土地については倍率方式で評価額を計算することになります。

3.倍率方式による計算方法

土地のある地域に路線価が定められていないことを確認したら、倍率方式により土地の評価額を下記で算出します。

固定資産税評価額 × 倍率

そのため、倍率方式の計算では、まず固定資産税評価額を把握する必要があります。

(1)固定資産税評価額を把握する

倍率方式の計算の基礎となるのは、固定資産税評価額です。固定資産税評価額は、納税通知書があれば、納付書とセットになっている「固定資産税課税明細書」の「価格」または「評価額」の欄に記載されています。

納税通知書が手元になければ、土地の所在地の市区町村役場で「固定資産評価証明書」を発行してもらうことができますので、これを取り寄せる必要があります。

田舎の土地など、土地が遠方にある場合は、郵送でも取寄せをすることができます。

この場合は、該当の市区町村役場のホームページから交付申請書をダウンロードし、土地の所有者の相続人であることが確認できる戸籍謄本と、申請者本人を確認できる運転免許証などのコピー、手数料分の定額小為替と、あて名と切手を貼った返信用封筒を同封して役所の担当課へ郵送します。

(2)倍率を確認する

固定資産税評価額がわかれば、つぎに当該土地の倍率を確認します。倍率は国税庁のホームページの評価倍率表で確認することができます。

①まず国税庁のホームページの路線価図にアクセスし、調べたい土地がある都道府県をクリックします。
②評価倍率表の一般土地等用をクリックします。

③評価倍率表で該当地区を確認します。

(3)固定資産税評価額に倍率を乗算する

例えば土地の固定資産税評価額が2000万円、倍率が1.1であった場合は

2000万円×1.1=2200万円がこの土地の評価額となります。

4.倍率方式の計算で注意すべき点

倍率方式は路線化方式に比べ、計算式がシンプルで簡単であるといわれています。

ただし、いくつか注意すべき点があります。

(1)固定資産税評価証明書は基準年度のものが必要

まず、計算の基礎となる固定資産税評価証明書は基準年度のものを使用する必要があります。

固定資産税の評価額は3年ごとに見直されています。これを評価替えといい、平成30年度はその評価替えが行われる基準年度になっています。平成30年以外にも、直近では平成27年度、平成24年度が基準年度となります。

基準年度から3年は、原則として新たな評価は行われず評価額は据え置きとなります。例えば、平成27年に評価替えが行われているので、以後平成28年、平成29年は評価が変わらないのが原則です。

ただし、役所によっては年ごとに評価額を変えるところもあるところから、必ずしも平成27年度の評価額と、平成29年度の評価額が同じであるとはいえないことになります。

そのため、例えば土地の所有者が平成28年に亡くなった場合は、基準年度である平成27年度の固定資産税評価額を基準に土地の評価を計算することになりますので、平成27年度の固定資産評価証明書を取り寄せる必要があります。

(2)評価証明に記載されている地目と現況が異なる場合は現況の地目の倍率で計算を行う。

固定資産評価証明書には土地の所有者の氏名や住所、評価額のほか、土地の所在地や登記地目、課税地目、地積等が記載されています。

このとき評価証明書に記載されている課税地目と、現況が異なる場合は、相続時の現況に応じて評価額を算出することになります。

例えば、課税地目が「雑種地」であっても、現況「宅地」として土地を利用している場合は、評価倍率表の宅地の倍率を適用して評価額を算出することになります。

(3)一つの土地で利用区分が異なる場合は区分ごとに評価を行う

固定資産評価証明の課税地目が「雑種地」と記載されていても、その土地を「宅地」と「雑種地」に分けて利用している場合は、現況の区分に応じて、評価額を算出する必要があります。

まとめ

倍率方式は路線価方式に比べ、数式がシンプルで計算しやすいように思えますが、一つの土地でも利用区分が違う場合には、利用区分ごとに個別に計算しなければならなかったり、また減額調整できる可能性もあったりと、素人では判断の難しいケースも多く存在します。

まずは経験豊富な専門家に相談してみるとよいでしょう。