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遺産相続は特別受益に注意!どのようなケースで認められる?

遺産相続が起こった場合、原則的には法定相続人が法定相続分に従って遺産を分け合います。
ところがそのとき、法定相続人の中に、特別に故人から贈与を受けていた人などがいると、単純に法定相続分に応じて遺産を分けると不公平になります。

そこで、法律は「特別受益」という考え方を取り入れて、相続人間の公平をはかっています。
ただ、特別受益はどのようなケースでも認められるわけではありません。
今回は、遺産相続の場面で問題になりがちな特別受益のことと、特別受益が認められる場合について、解説します。

1. 特別受益とは

遺産相続が起こったとき、特別受益が問題になることがあります。

特別受益とは、法定相続人の中に、被相続人から特別に利益を得ていた人がいる場合の受益分のことです。

たとえば、法定相続人である長男が、父親である被相続人から生前に現金や不動産をもらっていたら、もらった現金や不動産が特別受益と評価されます。

法定相続人の中で特別受益を受けた人がいる場合、その人のことを受益者と言います。

受益者がいると、遺産相続の際にその受益分を遺産の金額に足して、総額を法定相続分に応じて遺産分割する計算をすることができます。

この計算方法のことを、特別受益の持ち戻し計算と言います。

特別受益があった場合、そのまま法定相続分に従って遺産分割をしてしまうと、受益者の取り分が大きくなって不公平になってしまいますが、このように特別受益の持ち戻し計算をすることによって、より公平に遺産分割をすることが可能になります。

2. 特別受益が認められる場合

被相続人が生前贈与や遺贈をしたでは次に、特別受益がどのような場合に認められるのかを見てみましょう。

(1)特別受益が認められるケース

具体的には、以下のような遺贈や贈与があったケースで特別受益が認められます。

①相続人が遺贈を受けた財産

相続人が遺贈を受けた場合、その遺贈分が特別受益になります。

このとき、相続人が遺贈を受けた必要があり、相続人以外のものが遺贈を受けても特別受益にはなりません。

たとえば、父親が亡くなって妻と長男、次男が法定相続人になっている場合に、長男が遺贈によって1000万円の土地をもらっていたら、その土地の遺贈が特別受益となります。

②婚姻や養子縁組の目的で贈与した財産

婚姻や養子縁組を目的として生前贈与した財産は、特別受益の対象になります。

たとえば、相続人が婚姻する際に被相続人が持参金や嫁入り道具を持たせた場合、養子縁組するときに被相続人が資金や住居用の不動産を購入した場合などが該当します。

③相続人に対して生計の資本として贈与した財産

被相続人が、生前相続人に対して生計の資本として贈与した財産も特別受益になります。

たとえば、相続人が大学に進学する際にかかった費用や留学したときの費用を出してもらったり、自宅不動産や自動車の贈与をしてもらったり、相続人が個人事業を開業する際に資金援助してもらったりした場合には、特別受益と評価されます。

(2)特別受益の対象となる財産の種類

次に、特別受益の対象になるのは、どのような種類の財産なのかを確認しましょう。

特別受益の対象は、現金や預貯金、不動産や車、ゴルフ会員権や積立金、投資信託など幅広いものです。

基本的に、被相続人名義の価値のある財産を贈与したり遺贈したりすると、特別受益になると考えましょう。

これに対し、生命保険金や死亡退職金は、特別受益に含まれません。

遺族扶養料も遺族固有の権利であり、特別受益にはならないので、押さえておきましょう。

(3)どこまでが特別受益と言えるのか?

特別受益が認められるケースを考えるとき、どこまでの贈与が特別受益と認められるのかが問題になります。

たとえば、被相続人が相続人に対し、数千円や数万円のこづかいを渡しただけでも特別受益になってしまうとなると、一般的な感覚とも合わないでしょう。

実際、特別受益を評価されるには、ある程度まとまった額(価値)の贈与である必要があります。

親族間には互いに扶養義務もあるので、あまりに少額の金銭を出してもらったに過ぎない場合には、あえて特別受益と評価されないと考えましょう。

たとえば、現代の貨幣価値で10万円以下の贈与をしたとしても、それをあえて特別受益と主張することは難しいです。

また、特別受益を主張する場合には、立証方法についても考慮することが必要です。

特別受益を主張しても、受益者がその事実を認めない場合には、主張するものが特別受益の事実と財産評価をしなければなりません。

そうなると、あまりに古い生前贈与の事実などを持ち出しても、立証の資料がないことがほとんどです。

たとえば、何十年も昔に大学の費用を出したことや、自動車を贈与したことなどを立証したくても、その具体的な金額や贈与の内容(自動車の場合はメーカー名や車種、型式など)を特定することは困難なことが普通です。

このような場合、立証ができなければ特別受益は認められないにもかかわらず、特別受益の主張によって遺産分割協議が無駄に紛糾して長引いてしまう原因にもなります。

そこで、特別受益を主張する場合には、あまり細かい主張はしすぎないこと、ある程度確実に立証が可能であることなども確認した上で、主張をした方が良いでしょう。

やみくもに特別受益の主張を持ち出すと、遺産相続トラブルの原因になってしまいます。

3. 特別受益が認められる人の範囲

次に、特別受益が認められる人の範囲を確認しましょう。

特別受益が認められる人は、法定相続人です。

法定相続人以外の人が遺贈や生前贈与を受けても特別受益にはなりません。

たとえば、被相続人に配偶者と子ども2人がいて法定相続人となる場合、被相続人の兄弟姉妹や愛人が遺贈や生前贈与を受けていたとしても、それらの受益分が特別受益になることはありません。

被相続人に子どもも親もおらず、兄弟姉妹が法定相続人となる場合には、兄弟姉妹の受益分が特別受益と評価されます。

また、特別受益となる人の範囲については、代襲相続の場合にも問題になります。

代襲相続とは、相続人が被相続人よりも早く死亡していた場合に、相続人の子どもが代襲して相続することです。

たとえば、親である被相続人よりも子どもが先に死亡していた場合、子どもに子どもがいれば(被相続人からすると孫になる)孫が遺産相続をするという考え方です。

代襲相続が起こる場合、生前贈与が行われた時期によって、特別受益となるかどうかが異なるケースがあります。

まず、被代襲者(代襲相続される人。上記の場合には子ども)が生前贈与を受けた場合、その生前贈与分はすべて特別受益となります。

被代襲者は、生きている間ずっと法定相続人だったからです。

これに対し、代襲者(代襲相続する人。上記の場合には孫)が生前贈与を受ける場合、いつ生前贈与が行われたかによって結論が異なってきます。

まず、代襲原因(子どもの死亡)が起こる前に生前贈与が行われた場合には、その受益分は特別受益になりません。

代襲原因が起こる前は、まだ代襲者(孫)は法定相続人になっていなかったからです。

これに対し、代襲原因(子どもの死亡)が起こった後に行われた生前贈与は特別受益の対象になります。

代襲原因が起こった後は、代襲者がすでに法定相続人になっているからです。

以上のように、遺産相続をする場合には、特別受益を受けた法定相続人がいると特別受益の持ち戻し計算をすることで、法定相続人間の公平をはかることができます。

遺産相続の場面で問題となることが多いので、これを機会に正確に理解しておきましょう。