相続放棄に必要な必要書類と収集方法
相続放棄 / 限定承認相続放棄とは、相続予定の財産を全て放棄する手続きのことですが、被相続人が亡くなられて49日が終わった後、3ヶ月以内に必要書類を揃えて申告しなければいけない、スケジュール的にタイトな手続きです。
手続き自体は比較的簡単で、必要書類を揃えて裁判所へ申立てをするだけですが、3ヶ月という期限を過ぎてしまうと、相続財産に含まれた借金も一緒に相続してしまう危険性があります。
そこで今回は、相続放棄をする際の必要書類と、その収集方法についてご紹介します。
目次
■相続放棄を行う上で、揃える必要のある書類
相続放棄は裁判所への申し立て(申述)をすることで開始されますが、裁判所のホームページに用意すべき書類が掲載されていますので、ご紹介します。
(1) 相続放棄の申述書(8の書式及び記載例をご利用ください。)
(2) 標準的な申立添付書類
※ 同一の被相続人についての相続の承認・放棄の期間伸長事件又は相続放棄申述受理事件が先行している場合,その事件で提出済みのものは不要です。
※ 戸籍等の謄本は,戸籍等の全部事項証明書という名称で呼ばれる場合があります。
※ もし,申述前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,その戸籍等は,申述後に追加提出することでも差し支えありません。
※ 審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。
【共通】
- 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
【申述人が,被相続人の配偶者の場合】
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申述人が,被相続人の子又はその代襲者(孫,ひ孫等)(第一順位相続人)の場合】
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 申述人が代襲相続人(孫,ひ孫等)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申述人が,被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母))がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申述人が,被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 申述人が代襲相続人(おい,めい)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
参考:裁判所
■相続放棄手続きで必ず必要になる書類
◆相続放棄の申述書
相続人が家庭裁判所に対して申述するための書類。被相続人や相続人の本籍、住所、氏名等の情報に加え、相続人が相続を放棄する理由や相続財産の概要について記載する必要があります。
相続放棄申述書は家庭裁判所に置かれているので、そちらでもらうか、裁判所のホームページからもダウンロードできます。
裁判所|相続の放棄の申述書(20歳以上)
裁判所|相続の放棄の申述書(20歳未満)
◆被相続人の住民票除票又は戸籍附票
相続放棄の申述は『被相続人の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所』に申立てることになりますので、「相続放棄手続きはここの裁判所です」という事を立証する意味で、被相続人の住所証明情報として、被相続人の住民票の除票or戸籍の附票を提出する必要があります。
住民票の場合は、被相続人が住民登録をしていた市区町村役場
戸籍附票の場合は、本籍地の登録がある市区町村役場で申請します。
申請時は、被相続人との関係を示すために、自分の戸籍謄本や住民票も必要になるので注意しましょう。申請用紙は、各市町村役場のホームページにあります。
◆申述人(放棄する方)の戸籍謄本
相続放棄をする場合、身分証明として、申述する方本人の戸籍謄本も必要です。自身が本籍を置いている市区町村役場にて取得しましょう。
■相続放棄の申述者別で用意すべき必要書類
◆被相続人の配偶者・子の場合
この場合は『被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本』1通で大丈夫です。被相続人と配偶者は同じ戸籍に載っていますので、1枚あれば事足ります。
◆被相続人の父母の場合
いわゆる『直系尊属』と呼ばれる方は相続放棄する場合、相続放棄申述書と一緒に下記の2つを用意しましょう
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
第一順位の相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
直系尊属は、相続順位で言えば第二位の相続人ですから、第一順位の相続人が全員相続放棄をしたことで第二位の父母が相続放棄をすることになった場合でも、戸籍謄本は必要になります。
◆被相続人の孫の場合
孫が相続放棄をする際は、
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
被代襲者(配偶者または子)の死亡記載のある戸籍謄本
の2枚を用意しましょう。
◆被相続人の親または祖父母の場合
(8)被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
(9)配偶者(または子)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
(10)被相続人の親(父・母)の死亡記載のある戸籍謄本(祖父母も相続放棄を行う際)
が、必要になります。
◆被相続人の兄弟姉妹の場合
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
第一順位の相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
の3つが必要になります。
兄弟姉妹は相続順位でいれば第3位ですので、配偶者、第一の子、第二位の父母がいないか被相続人よりも先に死亡しているレアケースですので、あまり起こり得る事態ではありませんが、もし回ってきたら上記の様な書類を用意しましょう。
■相続放棄にかかる費用と基本的な手数料
収入印紙:800円分
連絡用の郵便切手
戸籍謄本取得:1通350円~
被相続人の住民票(除票):1通350円〜
参考:裁判所
■相続放棄の期限を守って余裕のある手続きを
もし相続放棄を3ヶ月の期間内にしなかった場合、『単純承認』といって全ての財産を相続することになります。そのすべてには当然マイナスの借金も含まれますので、まずは借金があるのか、相続財産額がいくらなのかを把握するところから始まります。
裁判所は平日しか空いていませんし、書類を集めるだけでも一苦労ですので、その辺りも含めて専門家に相談されるのがおすすめです。
参考:相続放棄に『強い』弁護士に出会うには|弁護士の選び方を徹底解説
また、相続放棄を期限内に行ったとしても、少なからずトラブルになるケースはあります。
相続放棄を期限内に行ったが、あとで相続人と協議して相続財産を相続した場合
相続放棄を期限内にしたが、あとで死亡生命保険金を受け取った場合
(1)の争点としては相続放棄人が受け取った財産による発生する税金は、贈与税なのか?相続税なのか?
(2)の争点は、生命保険の死亡生命保険金は、相続放棄してしても受け取ることができますが、結果として被相続人から財産を譲り受けたことになり相続税を支払わなければいけないケースと、一度放棄した財産を後から受け取ることに対して、他の相続人がいい顔をしないという点です。
争族トラブルに発展した場合、代理人として仲裁などができる弁護士に相談すべき案件になってしまいます。そうはならないためにも、早めが早めの対応をしていきましょう。
相続放棄の期限が迫っている場合は、当サイト『遺産相続相談窓口』の専門家からお選びいただくのが、比較的早いかと思いますので、合わせてご検討ください。