相続放棄に『強い』弁護士に出会うには|弁護士の選び方を徹底解説
相続放棄 / 限定承認相続放棄に強い弁護士とは、どのような弁護士を指すのか、そもそも何を持ってして『強い』と判断するのか、ご存知の方は少ないのではないでしょうか?
弁護士には得意とする分野があり、相続放棄でお悩みであれば最低限、相続分野を得意とする弁護士に相談する必要があります。交通事故が得意な弁護士に遺産相続の相談をしても、納得のいく結果を得るのは難しくなります。
結論からいうと、弁護士の選び方に明確な基準と言うものはありませんが、得意分野があるという前提を持たずに、単純に『相続放棄に強い』という文言を鵜呑みしてしまうと、本当なら解決できた問題も複雑化していく可能性があります。
■相続放棄に強い弁護士の選び方|失敗しない5つのポイント
まず、相続放棄の相談を弁護士に行う場合、最低限「遺産相続分野を扱う弁護士」である必要があります。そのほかにも、相続放棄に強い弁護士と思われる判断ポイントをいくつかご紹介します。
①3ヶ月の期限以内に迅速に手続きが可能
相続放棄の期限が、相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内と決められている以上、できるだけ早く遺産の総額を確認する必要があります。しかし、相続財産は時価評価で計算するため、まず評価をする必要があります。
特に不動産・株式などの財産評価は、複雑であるため専門知識が必要です。相続放棄したほうがいいかを判断するためにも、できるだけ早く弁護士など専門家に相談しましょう。
②質問にわかりやすく答えてくれる弁護士かどうか
初めての相続で不安も多く、わからない単語がたくさん。その依頼人の質問にわかりやすく答えてくれるかどうかも選ぶポイントです。法律や手続きは一度の説明では理解することができないことも多いでしょう。きちんと理解できるまでちゃんと説明してくれる弁護士でないと、満足のいく結果を得られない可能性もありますので、対応の仕方はよく見ておきましょう。
③相続放棄に関する経験
「遺産相続に強い弁護士」では、5年から10年程度の相続経験を持っていると良いという話をしましたが、単純に長年やっているから相続放棄に強いということにはなりません。経験の豊富さを見抜くのは難しいので、相談時の際「先生は遺産相続問題に関する経験は豊富なのですか?」と率直に聞いてみるのも良いでしょう。
④税理士や司法書士など他職種と連携しているか
弁護士は依頼人の窓口となり、代理人となり、さまざまな手続きや対策を立てる一番の味方ですが、弁護士だけではできない業務もあります。例えば、相続遺産の中に不動産があった場合、不動産鑑定士がその不動産の価値(固定資産税評価額・路線価・公示価格・取引価格など)を割り出します。その後、弁護士が遺産分割協議を担当し、協議が終われば司法書士が相続登記を行います。
弁護士は争いを解決するプロですが、相続問題は争いが終わったあとの手続きこそ一番手間のかかるものです。それを連携しながらできる弁護士選ぶのも一つのポイントですね。
⑤自分に合っているかどうか
あなたとの相性やフィーリングも大事です。弁護士も人間ですから、当然ながら合う、合わないがあります。意外と軽視されがちな問題ですが、相性の合わない人間とのコミュニケーションはストレスの元ですし、話もあんまり聞きたくないとなれば、結局、コミュニケーションロスが原因で手続きがスムーズに進まず、不利な条件に落ち着いてしまう可能もゼロではありません。
法律事務所のホームページには、必ず所属弁護士の紹介ページがありますが、写真を見ても実際のところどうなのかはわかりません。ですので、一回は面談に赴き、事務所の雰囲気や弁護士本人との相性を確認しましょう。
■相続放棄手続きにかかる弁護士費用
弁護士会が定める報酬規程が廃止され、各法律事務所が自由に弁護士報酬を決定できるようになりましたが、依然、多くの事務所は「旧報酬規程」を基準に報酬を定めているとされています。
旧報酬規程に定められた弁護士報酬の基準は下記のとおりです。
法律相談 |
相談料 |
30分ごとに5000円~25000円の範囲内 |
訴訟事件 |
着手金 |
事件の経済的利益が ・300万円以下→経済的利益の8% ・300万円を超え3000万円以下→5%+9万円 ・3000万円を超え3億円以下→3%+69万円 ・3億円超→2%+369万円 ※事件の内容により30%の範囲内で増減額することができる。 ※最低額は10万円 |
報奨金 |
事件の経済的利益が ・300万円以下→経済的利益の16% ・300万円を超え3000万円以下→10%+18万円 ・3000万円を超え3億円以下→6%+138万円 ・3億円超→4%+738万円 ※事件の内容により30%の範囲内で増減額することができる。 |
|
調停・示談交渉事件 |
着手金・報奨金 |
訴訟事件に準ずる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。 ※示談交渉から調停、示談交渉又は調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は訴訟事件の額の2分の1 ※着手金の最低額は10万円 |
日当 |
半日 |
3万円以上5万以下 |
一日 |
5万円以上10万円以下 |
(旧)日本弁護士連合会報酬等基準
http://www.miyaben.jp/consultation/pdf/expenses_kijun.pdf
■相続放棄に強い弁護士の探し方
この章では、実際に相続の相談を行う際にどのように弁護士を選べばいいのかを紹介していきます。
◆インターネットから探す方法
知り合いに弁護士がいない場合にはインターネットで弁護士を探す方法が一般的です。インターネットで探す場合には、弁護士を紹介してくるようなサービスを利用する方法と個別の弁護士事務所のHPを確認していく方法の2つがあります。
弁護士を紹介してくれるようなサービスを利用する
遺産相続に関するさまざまな問題に対応できる専門家を掲載しており、サイト上で簡単に検索し、電話やメールなどでコンタクトを取る事ができます。
〇法テラス
法テラスは法務省所管の公的な法律相談機関です。法テラスに電話をかけると無料で相談に対応してくれて、実際に弁護士業務へと発展するケースでは弁護士の紹介も無料でしてくれます。法務省管轄という公的な機関ですので安心して相談できます。
〇弁護士ドットコム
上場企業が運営している、弁護士紹介や相続問題のお悩み相談等に総合的に対応するポータルサイトです。インターネット上で相続相談ができ、実際に弁護士を紹介してもらうこともできます。
ただしこれらの紹介サービスを利用する場合には、紹介を受ける際に「相続に強い」弁護士を紹介してもらうようにお願いしたり、検索条件を絞り込む際に「相続、遺産分割、遺言」の項目について経験や実績があるかどうかをしっかりと調べたりする必要があります。
◆知り合いに弁護士がいる場合
知り合いに弁護士がいる場合にはその弁護士に相談するという方法があります。知り合いの弁護士が相続問題に詳しいのであれば直接相談に行くとよいでしょう。弁護士が紹介してくれる「相続に強い」弁護士ですから一定の信頼感と安心感があります。
相続放棄の代行を専門家に依頼すべきか検討するケース
自分でもできる相続放棄を、わざわざ弁護士や司法書士に代行依頼をする必要はあるのか、確認しておきましょう。
■相続放棄を弁護士に依頼してから完了までの流れ
◆まずは無料相談
弁護士に相談する場合、電話やメールでまずは面談予約をとり、無料相談をするのが一般的な流れです。相続人の状況や今後どうしたいかの展望を伝え、弁護士からアドバイスをもらった上で、依頼すべきかを判断します。
◆依頼・必要書類の作成
弁護士に依頼することになれば、通常、弁護士において戸籍謄本、住民票などの必要書類を取得し、相続放棄申述書を作成してくれます。そのように作成された申述書を、弁護士が家庭裁判所に提出します。
◆裁判所とのやりとり(回答書送付等)が発生
相続放棄申述書を提出すると、1週間前後で裁判所から照会書類が送られてきます。照会書類は、通常弁護士事務所宛に送られてきます。
◆相続放棄受理通知書の受領・完了
回答書を返送後、家庭裁判所から相続放棄受理通知書が送られてきます。これにより相続放棄が受理されたことが確認できます。その後、本人が弁護士から受理通知書、受理証明書、そのほかの資料を受け取り、手続きが完了します。
■まとめ
相続放棄に強い弁護士について解説してきましたが、最終的に決め手となるのはあなたとの相性です。複数の弁護士に相談してみてから決めることも検討しつつ、相続放棄の期限が迫っている場合は、当サイト『遺産相続相談窓口』の専門家からお選びいただくのが、比較的早いかと思いますので、合わせてご検討ください。