土地の生前贈与を受けたときの贈与税の計算方法と節税方法
生前贈与生前に親や親族から贈与を受けたときは、贈与税の計算をし、贈与税の申告・納税をする必要があります。
現金や預金などだけではなく、土地も生前贈与をすることも可能です。ただし、現金や預金の贈与とは異なる計算などをする必要があります。
ここでは、土地の生前贈与を受けたときの贈与税の計算方法と節税方法を解説します。
目次
1.土地の生前贈与を受けた場合の贈与税の計算手順
国に納付する贈与税の金額は、贈与された財産の価値に税率を乗じて求めます。
現金や預金などの贈与を受けたときには、いくらの贈与を受けたのか、その価格がすぐにわかります。
しかし、土地の贈与を受けた場合には、どれぐらいの価値の財産の贈与をされたのか、一目でわかることができません。そのため、土地の価値を求める必要があります。
土地の生前贈与を受けた場合の贈与税の計算手順は次のとおりになります。
- 土地の価値を評価するための必要書類を用意する
- 用意した必要書類を基に、土地の評価額を算定する
- 相続税の計算をし、相続税の申告、納付を行う
それでは、それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
2.必要書類の用意
土地を評価するためには、事前にさまざまな書類を用意する必要があります。
(1)登記簿謄本・測量図
土地を評価するためには、まず地目と地積を調べます。地目とは、その土地をどのような目的で使っているのかの分類のことです。
地目には田、畑、山林といったものや、住宅用地として使うことができる宅地などがあります。
もちろん土地の用途が異なるため、地目ごとに評価方法や評価額も異なります。そのため土地を評価するためには、まずこの地目を登記簿謄本で確認します。
地積とは土地の面積のことです。評価額は面積に影響されるため、土地の評価をするには地積を把握しておくことが重要となります。
地積は登記簿謄本や測量図などを見ればわかります。
(2)路線価図
路線価とは、路線(道路)に面する宅地の標準的な1平方メートル当たりの価額です。
路線価が定められている地域の土地などを評価する場合は、簡単に言うと地籍に路線価を掛けて、その土地の評価額を計算します。
主に路路線価が定められているのは、基本的に市街地における宅地です。路線価は以下の国税庁のHPから確認することができます。
参考:財産評価基準書|国税庁
都道府県を選択し、評価したい土地の住所のページを開いていきます。
(3)評価倍率表
路線価はすべての土地に定められているわけではありません。市街地以外では、路線価が定められていないところも多いです。
路線価が定められていない地域の評価に用いるのが評価倍率表です。
評価倍率表も上記「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」に記載されています。
3.土地の評価額の算定
必要書類を用意したら、次は土地の評価額の算定です。土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
路線価がある宅地は路線価図を使った路線価方式で、路線価のない地域は評価倍率表を使った倍率方式で、土地の評価額を算定します。
(1)路線価方式
路線価方式は、路線価図を使った土地の評価額の算定方法です。まずは、路線価図の見方を確認しましょう。
①路線価図の見方
路線価図を見ると、たくさんの道路に、丸や四角の図形、数字やアルファベットが記載されています。丸や四角の図形は、ビル街地区や普通住宅地区などの地区の区分を表しています。
土地の評価では評価額を補正することがあり、その補正率を判断するときに地区の区分を使います。
数字は、1㎡あたりの土地の価額を千円単位で示しています。この数字が評価の基になります。
例えば280と数字が記載されている場合、その道路に面している土地の1㎡あたりの価額は、280,000円となります。
アルファベットは、その道路に面している土地の借地権割合を表しています。
借地権割合はおもに借地などを評価する場合に使うもので、一般の土地の評価では使いません。アルファベットに対応する借地権割合は、路線価図の右上に記載されています。
②路線価方式の計算方法
では、路線価方式の計算方法を見てみましょう。路線価方式の計算方法で基本となるのは、1つの道路に面している宅地の評価額の算出です。1つの道路に面している宅地の評価額は、以下のように求めることができます。
宅地の評価額=路線価×奥行価格補正率×地積
奥行価格補正率は、奥行が極端に短い場合や長い場合に、その土地の評価が低くなるように補正するためのものです。奥行価格補正率は、奥行きの距離や土地がどの地区にあるかなどで決められています。
詳しくは以下のページをご参照ください。
このほかにも、二路線に面する宅地や、角地、不整形地などがあり、それぞれで評価方法が異なります。
③倍率方式
倍率方式は、評価倍率表を使った土地の評価額の算定方法です。まずは、評価倍率表の見方を確認しましょう。
④評価倍率表の見方
評価倍率表とは、地名や数字、借地権割合などが記載されている表です。倍率表には「町(丁目)又は大字名」や「適用地域名」が記載され、その地域が路線価方式・倍率方式のどちらを使用するかなどが記載されています。
「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」の欄には、地目ごとに評価額を計算するときに使う倍率が記載されています。
「純」や「比準」といった言葉は農地などの分類であり、宅地の場合は記載がなく使いません。
⑤倍率方式の計算方法
倍率方式の宅地の評価には、以下の計算式を利用します。
宅地の評価額=固定資産税評価額×倍率
固定資産税評価額は、市区町村から送られてくる固定資産税の納付書や通知書に記載されているものを使用します。
4.贈与税の計算(申告・納税)
贈与税の計算は、大きく分けて暦年課税制度と、相続時精算課税制度の2つがあります。
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(1)暦年課税制度
暦年課税制度は原則的な贈与税の課税制度で、毎年110万円の基礎控除があります。贈与を受けた金額が110万円を超えたときに、その金額に応じて10%から55%までの税率により計算した贈与税がかかります。
年間110万円までの贈与の場合は、贈与税の申告も不要です。
(2)相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、祖父母や父母などからの一定の生前贈与には贈与税をかけず、その後の相続時に、相続財産と生前贈与分を合計した財産に相続税を課す制度です。
相続時精算課税制度には、合計で2,500万円の特別控除があります。贈与を受けた金額が合計2,500万円を超えたときに、一律20%の税率により計算した贈与税がかかります。
相続時精算課税制度を利用すると、納める税額がなくても、相続時精算課税選択届出書などの必要書類を添付した贈与税の申告を提出する必要があります。
また、相続時精算課税制度を一度利用すると、暦年課税制度に戻すことができないため注意が必要です。
相続税の申告は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに行う必要があります。
5.土地の生前贈与を受けた際の注意点
では、土地の贈与を受けた場合の注意点を見ていきましょう。
(1)安易に名義変更しない。
土地は法務局で名義を登録しています。そのため、持ち主を変更する場合は名義変更の登記が必要です。
親族間の場合、お金のやり取りがなく、名義変更のみを行うことが可能ですが、その場合は贈与とみなされて贈与税がかかることもあります。名義変更する際には、贈与とみなされる心配がないかどうか注意しましょう。
(2)土地の贈与を受けると、相続税以外の税金もかかる
土地の贈与を受けると、相続税以外の税金もかかります。代表的なものが不動産取得税と登録免許税です。
不動産取得税は、売買や贈与などで不動産を取得したときに、都道府県に支払う税金です。不動産取得税は以下の式により計算します。
不動産取得税=固定資産税評価額×3%(土地の場合)
※土地が宅地の場合、不動産取得税は固定資産税評価額×1/2×3%となります。
また、相続時に土地を取得する場合、不動産取得税はかかりません。
登録免許税は、不動産の所有権移転登記を行うときにかかる税金です。登録免許税は以下の式により計算します。
登録免許税=固定資産税評価額×2%
また、相続時に土地を取得する場合の登録免許税は、固定資産税評価額×0.4%です。
不動産取得税、登録免許税ともに、土地を贈与で取得する方が相続で取得するより高くなるので、注意が必要です。
6.土地の生前贈与を受けたときの節税方法
見てきた通り、土地の贈与を受けると多くの税金がかかります。そこで、ここからは節税方法について見ていきましょう。
(1)配偶者控除を使う
夫婦間で居住用の不動産や居住用の不動産を購入する資金を贈与された場合は、2,000万円までが非課税になります。土地の贈与をする場合は配偶者控除のことも頭に入れて、誰に贈与するのかなどを検討しましょう。
(2)暦年課税制度と相続時精算課税制度を比較検討する。
暦年課税制度は年間110万円まで、相続時精算課税制度は合計2,500万円までの非課税枠があります。少しずつ贈与する場合であれば、年間110万円非課税の暦年課税制度を選択した方が節税になる場合があります。
また、相続時精算課税制度は贈与時に贈与税がかからなくても、相続時に相続税の対象になります。
ただし、相続時に加えられる贈与した土地の価格は、贈与時点の価格です。
相続時には地価が上がりそうな土地の場合は相続時精算課税制度を利用し、あらかじめ贈与しておくことで、贈与・相続を通じた節税をすることができます。
まとめ
土地の贈与を受けると、路線価方式や倍率方式といった土地の評価方法や、暦年課税制度や相続時精算課税制度を利用した贈与税の計算など、複雑なことがらがたくさんからんできます。
また、注意すべき点や節税方法など、知識がないと気づきにくいことも多くあります。
賢く土地を贈与するためにも、土地の贈与を考えるようになったら、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。