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成年後見制度の種類とは?後見と保佐と補助の違いについて解説!

判断能力が低下した場合には、成年後見制度を利用すると良い、ということが知られています。しかし、成年後見制度には、いくつかの種類があり、それぞれの場面で使い分ける必要があります。
今回は、成年後見制度の種類とそれぞれの違いについて解説します。

1.成年後見制度とは

成年後見制度とは、本人の判断能力が低下した場合に、第三者が代わりに財産管理や身上監護を行うための制度です。

成年後見人の業務は、財産管理と身上管理です。

財産管理業務としては、本人の財産を預かって、本人のために適切に支出をしたり収入を管理したりします。たとえば、年金の入ってくる通帳を管理しながら必要な家賃や介護施設の支払を行うことなどがあります。

身上監護業務としては、本人が適切な療養介護を受けられるように、入院する先の病院を選んだり、入所する施設を選んだりすることなどがあります。

成年後見制度は本人の利益のための制度なので、財産管理や身上監護は、本人のためになることを優先して行う必要があります。

たとえば、本人の子どもがお金に困っているから、親にお金を出してほしい、などと依頼してきても、そのようなお金の使い方は本人の利益につながらないことが多いので、断ることになります。

成年後見人がつくと、自分では適切に財産管理ができなくなった本人の財産が適切に管理されて、本人が不利益を受けることを防ぐことができます。また、本人が自分で入所する施設などを選べない状態になっても、後見人が良い施設を選び、本人を入所させることなどによって、本人が快適に生活できるようになります。

2.成年後見の種類

成年後見制度には、いくつかの種類があります。

大きく分けて法定後見制度と任意後見制度があります。

法定後見制度とは、家庭裁判所が後見人を選任するタイプの後見制度であり、任意後見制度とは、本人が自分で後見人を選んで契約をするタイプの後見制度です。

法定後見には、後見人と保佐人、補助人の3種類があるので、以下ではまず、法定後見の3種類を見てみましょう。

(1)後見人

後見人とは、もっとも典型的で一般的な後見制度です。

一般に「後見人」「成年後見人」という場合、この後見人を指すことが多いです。

後見人は、本人の判断能力が無い状態が常に続いているケースで選任されます。判断能力の低下の程度が最もすすんでいる場合です。

後見人は、本人のすべての法律行為について代理権を持ちますし、本人がしたすべての行為について取消権を持ちます。

たとえば、本人が悪徳業者に騙されて高額な物品を買わされた場合には、後見人はその契約を取り消すことによって代金支払いを免れたり支払った代金を返してもらったりすることができます。

本人が遺産相続をした場合には、後見人が代わりに遺産分割協議に参加することによって、適切に遺産分割をすすめることも可能です。

後見人を選任する場合には、本人の同意は不要です。これは、後見人をつけるケースでは、本人の判断能力が低下しているので、後見人をつけるべきかどうかについての判断も適切に行うことができないと考えられているからです。

(2)保佐人

保佐人とは、本人の判断能力が著しく低下している場合に選任されるものです。

常に判断能力がない後見人がつくケースよりは判断能力が残っていますが、著しく低下しているために、第三者による助けが必要だと考えられるケースで選任されます。

保佐人は、法律で定められた重要な法律行為について、同意権と取消権を持ちます。

重要な法律行為とは、具体的には、以下の通りです(民法13条1項)。

  • 元本の領収と利用
  • 借財や保証
  • 不動産などの重要な財産処分など
  • 訴訟行為
  • 贈与・遺贈の契約や仲裁合意
  • 相続の承認・相続放棄・遺産分割
  • 贈与・遺贈の拒絶
  • 新築、改築増築や大修繕
  • 長期賃貸借契約

保佐人には、基本的には代理権がありませんが、家庭裁判所に申立をすると、上記の行為について、個別に代理権を認めてもらうことができます。

また、上記の行為以外に同意権を認めてほしい場合にも、家庭裁判所に申立をして許可を受ければ可能です。

保佐人選任を申し立てる際にも、後見人選任のケースと同様、本人の同意は不要です。これは、保佐人を必要とするケースにおいても、本人の判断能力が著しく低下しているため、保佐人をつけるべきかどうかの判断を行うことができないと考えられているからです。

(3)補助人

法定後見の種類として、補助人があります。補助人は、本人の判断能力が不十分になっている場合に選任されます。

補助人には、法律上当然に認められる権限はありません。

補助人を利用する場合には、上記の民法13条1項の重要な行為のうち特定の行為について、取消権や同意権を認めてもらうため、個別に家庭裁判所に申立をする必要があります。

同様に、個別に申立をすることによって、補助人に代理権を与えることも可能です。

補助人に与える同意権、取消権、代理権については、申立時に目録を作成して家庭裁判所に認めてもらう必要がありますが、選任後に変更の必要がある場合には、権限の幅を広げたり縮小したりすることが可能です。

また、補助人の場合には、選任するために本人の同意が必要となります。これは、補助人が選任される場合には、本人の判断能力が大きく残っているので、自分に補助人をつけるかどうか適切に判断することができると考えられているからです。

(4)法定後見を利用する方法

以上のように、法定後見には、後見人、保佐人、補助人の3種類があります。それぞれ、予定されている本人の判断能力の程度が異なるので、ケースに応じて適切に使い分けることができます。

これらの法定後見制度を利用したい場合の手続きは、すべて共通しています。

本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、それぞれ「後見開始の審判申立」「保佐開始の審判申立」「補助開始の審判申立」という手続きをします。

申立をすることができるのは、本人やその配偶者、四親等内の親族や検察官などです。

必要書類もほとんど共通です。

具体的には、

  • 申立書と申立附票
  • 本人の戸籍謄本
  • 本人の登記されていないことの証明書
  • 本人の住民票または戸籍附票
  • 診断書
  • 親族関係図
  • 収支予定表
  • 財産目録
  • 財産に関する資料など

が必要です。

また、保佐人の場合に代理権を付与したい場合には、代理権を付与したい行為をまとめた「代理行為目録」の作成と提出が必要です。

補助人の場合には、同意権や取消権を与えたい行為をまとめた「同意行為目録」の作成と提出が必要になります。

かかる費用については、後見人と保佐人、補助人のケースで少し異なります。

後見人の場合には裁判所の手数料(収入印紙)が800円となりますが、保佐人の場合には、代理権を付与する場合と同意権を追加で付与する場合に、それぞれ800円増しとなります。

保佐人を選任する場合にはもともと同意権がありますが、それに足して代理権を認めてほしい場合には、1600円が必要になるということです。

補助人の場合には、同意権や代理権を与える場合、やはりそれぞれ800円増しとなります。

そこで、補助人の場合に同意権と代理権を認めてもらいたい場合には、2400円がかかることになります。

これ以外に、登記費用として2600円がかかるのと(収入印紙)、予納郵便切手代が4000円程度かかります。

3.任意後見制度について

後見制度には、任意後見制度もあります。これは、裁判所によって後見人を選ぶのではなく、契約によって本人が後見人を選ぶ制度です。

任意後見制度は、その性格や利用方法などの点において、法定後見制度とは大きく異なるので、ここでは詳細な説明をせず、別の記事で特集します。

以上のように、法定後見だけでも、後見制度にはいろいろな種類があります。

後見人までは必要でなくても、保佐人や補助人をつけることによって、より安心して生活が送れるケースもあります。

今回の記事を参考にして、ケースに応じた適切な後見制度を利用すると良いでしょう。