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遺言書が出てきたら検認が必要?手続き方法を詳しく解説

相続が起こった場合、亡くなった人(被相続人)が遺言書を残しているケースがあります。

この場合、遺言書を発見した人は、「検認」という手続をとらないといけません。

検認にはどのような意味があり、どのように手続をすれば良いのでしょうか?

検認をせずに遺言書を開封するとどのような問題が起こるのかも知っておく必要があります。

そこで今回は、遺言書の検認手続について解説します。

1.特別方式遺言と普通方式遺言

遺言の種類には、大きく分けて特別方式遺言と普通方式遺言がありますので、以下で順番にご説明します。

(1)特別方式遺言

特別方式遺言とは、死に瀕した場合など緊急のケースですることができる遺言です。

特別方式遺言には、病気などが原因で死が迫っている場合などに行う死亡危急者遺言、戦中で遭難した人が船内ですることができる船舶遭難者遺言、伝染病などによって隔離状態になっている人や、船内の人などがすることができる遠隔地遺言などの種類があります。

特別方式遺言を利用すべきケースは、死が差し迫っている場合など、非常に特殊なケースですので、通常の遺言をしたい場合には利用しません。

(2) 普通方式遺言

普通方式遺言とは、原則的な遺言の方法であり、通常遺言をしたい場合に利用する遺言です。

通常、世間で「遺言書がある」と言う場合、ほとんどのケースが普通方式遺言です。

普通方式遺言にも、いくつかの種類があり、それぞれ特徴があるので、遺言をする場合には、どの遺言方法を利用するかを検討する必要があります。

2.秘密証書遺言

普通方式遺言には、秘密証書遺言と自筆証書遺言、公正証書遺言の3種類がありますので、以下ではそれぞれの遺言方式について解説します。

まずは、秘密証書遺言を見てみましょう。

(1) 秘密証書遺言とそのメリット

秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密にして、その存在のみを公証人に認証してもらう遺言作成方法です。

秘密証書遺言を作成する場合には、遺言書の本文を自分で作成して封入して公証役場に持っていき、公証人にその存在を確認してもらいます。

このとき、秘密証書遺言を作成する場合には、公証人にも中身を見られることはなく、その存在のみを認証してもらえるので、誰にも内容を知られずに遺言をすることができます。

しかも、完全に封入してしまうので、その後第三者によって変造されたり偽造されたりするおそれもありません。

公正証書遺言も偽造や変造のおそれは低いですが、公正証書遺言の場合には公証人に遺言内容を知られることになりますし、公正証書の正本や謄本を自宅においていると、誰かが発見して見てしまう可能性もあるので秘密を完全に守ることはできません。

このように、遺言内容を完全に秘密にして、偽造や変造のおそれを防げることなどが秘密証書遺言のメリットとなります。

また、秘密証書遺言を残した場合、後に封を開けられるなどの事情があって秘密証書遺言としての効力が認められなくなったケースでも、中身の遺言書が自筆証書遺言の様式を満たしていれば、自筆証書遺言としても効力が認められます。

秘密証書遺言をする場合、中身の遺言書自身はパソコンなどで文書作成することができます。

この点、自筆証書遺言の場合には全文自筆で作成しなければならないので、それと比べると字が書けない状態でも利用できる秘密証書遺言にはメリットがあります。

(2)秘密証書遺言のデメリット

秘密証書遺言にはデメリットもあります。

まず、秘密証書遺言であっても、誰かが発見して封を開けてしまったら秘密証書遺言としては無効になってしまいます。

このとき、中身の遺言書が自筆証書遺言としての様式を満たしていれば自筆証書遺言として取り扱ってもらえますが、パソコンなどで文書作成していたケースなどでは自筆証書遺言としての効力も認められず完全に無効になります。

また、公証役場に行ってわざわざ手続きをするのもかなりの手間になりますし、そのための費用もかかります。

さらに、秘密証書遺言が出てきた場合、相続人らは家庭裁判所で検認手続きをする必要もあります。

このように、秘密証書遺言には一定のメリットはありますが、手続きに手間がかかる割に、他の遺言と比べてさほどのメリットがないことから、あまり広くは利用されていません。

遺言の内容を絶対に秘密にしたいケース以外では、あまり利用する意味は無いでしょう。

3.自筆証書遺言

普通方式遺言の種類には、自筆証書遺言があります。

自筆証書遺言とは、全文を遺言者が自筆するタイプの遺言書です。

自筆証書遺言をする場合には、完全にすべての文面を遺言者が自筆する必要があります。

遺産目録などをつける場合には、その目録まですべて手書きにする必要があります。

自筆証書遺言をする場合、自宅で手軽に遺言書を作成出来ることが大きなメリットです。

また、公正証書遺言などの場合と違って費用もかかりません。

そこで、公証役場に行って公正証書遺言を作成することが手間であったり負担であったりするケース、まずは取り急ぎ遺言書を作っておきたいケースなどには、自筆証書遺言をすると良いでしょう。

たとえば、年齢も若くてまだまだ死亡は先のことだけれども、とりあえず万が一の場合のために遺言書を作成しておきたい場合、体力や気力が弱っていてどうしても公正証書遺言を作成する積極性が持てない場合、忙しいので公正証書遺言をするのが非常に手間になる場合などには、とりあえず自筆証書遺言をしておく方法がおすすめです。

4. 公正証書遺言

普通方式遺言には、公正証書遺言があります。

公正証書遺言とは、公証人が作成する公文書としての公正証書の方式で作成する遺言書です。

公正証書遺言を作成すると、その原本が公証役場で保管されるため、変造などの問題は起こりませんし、紛失のおそれもありません。

遺言者本人には正本や謄本が渡されますが、これらを無くした場合には、再度謄本(写し)を請求することができます。

また、作成には公証人が関与しますし、作成過程では2人の証人が必要になるので、遺言内容が遺言者の意思に反するおそれもありません。

遺言者の身分証明書などを提示させることによって本人確認もしっかり行われるので、第三者が偽造することもほとんど不可能です。

さらに、公証人がその職務として適式に作成してくれるので、無効になるおそれもありません。

このように、公正証書遺言をすると、偽造や変造や紛失のおそれもなく、確実に有効な遺言書を作成して残すことができますし、後になって相続人らが相続争いをすることを効果的に避けることができます。

公正証書遺言は、ほとんどあらゆるケースで勧めることができます。

遺言をするならば、公正証書遺言をすることを基本的に考えると良いでしょう。

相続人同士で争いが起こることを効果的に避けたい場合、自筆証書遺言では有効な遺言を作成する自信が無い場合、公証役場で手続きをする手間と費用をかけても良い場合には、公正証書遺言を作成することがおすすめです。

まとめ

今回は、遺言書の種類とそれぞれを利用すべきケースをご説明しました。

遺言書を作成する場合には、自分の状況に応じた手続きを選択することが大切です。

相続人らによる争いを効果的に避けたい場合には、公正証書遺言を利用する方法がおすすめです。

今回の記事を参考にして、状況に応じて適切な遺言書を残しましょう。