遺産相続の正しい手続き方法と流れや期限を詳しく解説
相続手続き人が亡くなって相続が起こったら、相続人たちは相続の手続をすすめる必要がありますが、相続手続きについては、どのように進めれば良いのかがわからないことが多いです。
相続後になすべく手続きには、期限があるものもあるので、注意が必要です。
そこで今回は、相続が起こった場合の手続きの流れと、正しい手続きの進め方について解説します。
目次
1. 相続後の手続きの流れ
相続が起こって自分が相続人になっている場合、いろいろな手続きが必要になります。
まずは、相続後の手続き後になすべきことを、時系列順に並べて確認しましょう。
- 死亡届を役所に提出する
- 生命保険がある場合、生命保険会社から保険金を受け取る
- 遺言書の有無を確認する
- 相続放棄や限定承認の手続きをする(3ヶ月以内)
- 準確定申告の手続きをする(4ヶ月以内)
- 検認手続きを行う(遺言書がある場合)
- 相続人調査をする
- 相続財産調査をする
- 相続人らが集まって遺産分割協議をする
- 相続税の申告と納税を済ませる(10ヶ月以内)
- 各種財産の名義書換の手続きをする
- 遺留分減殺請求をする(1年以内)
相続が起こると、上記のような手続きが必要になります。
すべての事案ですべての手続きが必要なわけではありませんが、かなりの作業量になることは確実です。
以下では、それぞれの手続きについて、より詳しく見てみましょう。
2. 死亡届を役所に提出する
人が亡くなったら、まずは死亡届を提出する必要があります。
病院で亡くなった場合などには、医師に死亡診断書を書いてもらうことができますが、これは死亡届と一体になっています。
そこで、死亡診断書を受け取ったら、その横の死亡届の欄に、必要事項を記入して役所に提出します。
すると、引き替えに火葬許可証をもらえるので、それをもってお葬式を出すことになります。
3. 生命保険がある場合、生命保険会社から保険金を受け取る
被相続人が生命保険に加入していた場合、死亡保険金が出るケースがあります。
この場合には、生命保険会社に連絡を入れて、保険金を受け取る手続きをする必要があります。
死亡保険金は相続財産には入りませんし、法定相続人以外の人が受取人になっていることもありますが、相続税申告の際には、生命保険の保険金が遺産扱いされるので、注意しましょう。
4. 遺言書の有無を確認する
相続が起こった場合、有効な遺言書があるかどうかを確認することは非常に重要です。
有効な遺言書があれば、その内容に従って遺産分割されることになるからです。
もしなければ、法定相続人が法定相続分とおりに遺産を相続します。
遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
被相続人が生前使っていた机や棚などをチェックして、遺言書が残されていないかどうかを調べましょう。
公正証書遺言が作成されているかどうかは、公証役場にて検索して調べることができます。
5. 相続放棄や限定承認の手続きをする(3ヶ月以内)
被相続人が借金を残して亡くなった場合など、相続をしたくない場合には相続放棄や限定承認の手続きをとる必要があります。
相続放棄とは相続を全部しないこと、限定承認とは、遺産がプラスになっている場合のみプラス分を相続することです。
相続放棄や限定承認する場合、家庭裁判所に対し、相続放棄の申述や限定承認の申述をする必要があります。
これらの手続きについては、相続があったことを知ってから3ヶ月という期限があるので、注意が必要です。
6. 準確定申告の手続きをする(4ヶ月以内)
被相続人が個人事業主などであった場合には、準確定申告の手続きが必要になります。
準確定申告とは、被相続人がするはずであった所得の確定申告について、相続人が代わりに行うことです。
被相続人が個人事業を営んでいた場合など、本来であれば被相続人がその事業について確定申告をしなければなりませんが、死亡したことによってそれができなくなります。
そこで、相続人らが代わりに行うのです。
準確定申告は、相続開始後4ヶ月以内にする必要があるので、注意が必要です。
7. 検認手続きを行う(自筆証書遺言、秘密証書遺言がある場合)
遺言書がある場合、それが自筆証書遺言や秘密証書遺言である場合には、遺言書の検認手続きが必要です。
検認とは、遺言書の存在や状態について裁判所に確認してもらうための手続きです。
これらの遺言書が発見された場合、検認せずに勝手に開封すると過料などの制裁があるので、注意が必要です。
検認は、家庭裁判所に申し立てることによって行います。
公正証書遺言の場合には検認は不要です。
8. 相続人調査をする
相続が起こったら、相続人調査をする必要があります。
相続人調査とは、誰が相続人になるかについて、戸籍などをたどって調べる手続きです。
被相続人が結婚や離婚を繰り返している場合、自分の知らない他の相続人(被相続人の子どもなど)がいる可能性がありますし、認知している婚外子がいる可能性もあります。
そこで、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本や除籍謄本を取り寄せることによって、確実に相続人を調べていきます。
この作業によって、誰が相続人になるかが特定されます。
9. 相続財産調査をする
相続手続をすすめるためには、相続財産の調査も重要です。
人が亡くなったとき、その人のすべての財産内容が明らかになっているケースばかりではありません。
周囲の人が知らない預貯金や積立金があることもありますし、不動産を購入していることもあります。
生命保険に加入していたり、ゴルフ会員権などもあったりするかもしれません。
そこで、これらの相続財産を調べることによって、どの財産を遺産分割の対象にするか決定していきます。
相続財産調査の方法としては、被相続人宅に届いた金融機関からの書類や役所からの通知などをチェックしたり、直接金融機関に問い合わせたりして調べましょう。
相続人の資格で金融機関に残高証明書を出してもらうことができますし、不動産全部事項証明書は全国の法務局で誰でも取得することができます。
10. 相続人らが集まって遺産分割協議をする
相続人と相続財産の調査が終わったら、確定した相続人らが集まって遺産分割協議を進める必要があります。
遺産分割協議とは、誰がどの遺産を相続するかを決める話し合いのことです。
話し合いでは遺産分割協議が整わない場合には、遺産分割調停をする必要があります。
いったん遺産争いが起こると、かなり熾烈な争いが起こり、何年も解決しないこともあるので、そのようなことのないよう、お互い譲り合うこともときには大切です。
11. 相続税の申告と納税を済ませる(10ヶ月以内)
相続が起こったら、相続税の申告と納税が必要です。
これについては、相続開始後10ヶ月以内にしなければならず、期限を過ぎると延滞税などが課されてしまうので、くれぐれも延滞しないようにしましょう。
このとき、遺産分割協議が整っていなくても、先に相続税申告納税はしなければならないことに注意が必要です。
遺産分割協議が整っていない場合には、とりあえず法定相続分とおりに申告納税をして、後から還付などによって調整することが多いです。
12. 各種財産の名義書換の手続きをする
遺産分割協議が整ったら、各種の相続財産について、受け取りや名義書換の手続きをします。
たとえば預貯金を相続したら、解約してお金を受け取ることになりますし、不動産を相続したら、名義書換が必要になります。
預貯金の出金については、金融機関に遺産分割協議書を提示すればできますし、不動産の相続登記についても、遺産分割協議書と各種の必要書類を取り寄せて登記申請をすれば書き換えができます。
まとめ
今回は、相続後の手続きの流れについて解説しました。
相続が起こると、まずは死亡届を提出して、相続人や相続財産を調査したり、遺産分割協議をしたり、相続税の申告納税手続きをしたりなど、いろいろな手続きが必要になります。
相続放棄や準確定申告や相続税申告納税など、期限がある手続きもあるので、注意が必要です。
今回の記事を参考にして、スムーズに相続手続きを進めましょう。